構造主義の入門書

橋爪大三郎『はじめての構造主義』講談社
はじめての構造主義 (講談社現代新書)
最初から口語調で少し驚いたが、高校生あるいは中学生が読んでもいいように書いたらしい。冗長にならないぎりぎりのラインだと思う。四方山話の雰囲気のまま、学問の話に入っていく。
第1章では、今まであるいは同時代の思想と構造主義の違いを示し(これだけでもなんとなくわかったような気分になってしまう)、第2章は構造主義が生まれた背景とレヴィ=ストロースの功績の解説、第3章は数学の観点から構造主義を説き明かすという筆者自身の論(ですよね?)となっている。第4章はブックガイド、第5章のまとめではポスト構造主義にも触れている。
第2章に最低限の知見がコンパクトにまとめられて、かなり面白かった。レヴィ=ストロース構造主義の話をするためには、こんなにも、他のいろいろな話をしなければならないのですね。そして、ブックガイドがあるのは良い。原典にあたってみたい、関連する本を読んでみたい、と思ったときに目の前に図書名があるのはありがたいことだと思う。

今までの積み重ねが行き詰まって新しい理論が生まれてくるのは、世の常のようだ。どんな理論も、その部分を抑えれれば特徴をつかみやすいだろうと思っている。その点ができるだけわかりやすく書かれていたので、自分がどのくらい吸収できたかは別として、内容がすっと入ってくる本だった。それとは別に、私には、そのような「行き詰まり」を見極める力がついているだろうか。ついていればいいけれど。